読もうと思って自国から日本に持ってきた日本人作家の二冊の本。
そのうちの一冊が
英語版の"キッチン"(吉本ばななさん作)だった。
うちに帰ってから
たしか家にあったなあ?と本棚を探すと
あった!
わあ、読んでたのか、全然覚えてないよ〜と驚いた。しかも本の隅っこに読み始めた日が記入してあり、
なんと"1990.3.10〜"
もっと驚いたのは、
いくつかの文章に、傍線が引いてあったんだ!
若い時の私がそのくだりに何かこころ動かされたんだなぁ〜。
読んでみた。ああと思いだした。
主人公の若い女性が、長く二人暮らしだった唯一の肉親の祖母を亡くす・・・
私は読んだ当時のことを振り返ってみる。
父が突然亡くなって数年経ち(私はその後何年も父のこと、父の生涯を想い、夜枕を濡らしていた)、母は大病後の闘病中、私は楽しく仕事をしつつもよく体調を崩していた。
そんな心身不安定な頃に読んでいたのだ。
再読して、あの頃、思いもしないことがたくさん起き、ずいぶんいろんなことを経験し、紆余曲折を繰り返し、それなりに乗り越えてきたんだなあとしみじみ思う。
ばななさん(23才時)は、"キッチン"のあとがきの一節に、
"克服と成長は個人の魂の記録であり、希望や可能性のすべてだと私は思っています・・・・・"
とある。
・・・私の言葉はどこまであなたの孤独にとどくのだろう・・・
古くなった本の帯にそんな言葉を見つけたよ。