兄は少し足を引きずって歩いてた。私と庭で立ち話を五分ほどして、"農業屋"に行くからと、軽トラで帰っていった。
この栗がとれる土地を来年親戚に譲るから、栗は今年で最後だと言ってた。
もと田んぼだった土地に栗の苗木を植え、下草刈りを繰り返し、
やっと収穫できるようになってからすぐに、
私たちきようだいにたくさんの栗を毎秋届けてくれ続けた。
お義姉さんはうまく手が使えないから栗の皮むきも難しい。だから兄のところで食べる栗は少しだけ。
あとは全部私たちや他の幸せな人たちがいただく。
栗だけでなく、季節の野菜も。
もらうばかりの一方通行。