はらっぱ日記

里山・はらっぱ育ちのもーちゃんです

いつものように

nojimoe2015-10-15

Hさんと帰りのバス停でいっしょになった。
Hさんが話し始めた。
「もうすぐ緩和ケアの病院施設に入る予約をしてきます」
と。
「そこに入ったら、もう帰ってこられません」
バスの中で、
いつものささやくような口調で
くわしくその経緯をHさんは話し続ける。
わたしはいつものように
ただうんうんと聞いていた。
バスから先に降りて、
わたしはHさんにバイバイと手を振る。
Hさんもバスの中から手を振り続ける。
いつものように。


この前、
Hさんの家から六人(六びき?)のぬいぐるみさんがひっこしてきて、
うちの和室とリビングとダイニングで暮らしている。
ぬいぐるみさんたちは、はじめ不服そうな寂しそうな顔をしていた。
今はここで暮らすと観念したのか、顔色もよくなってきたよと
わたしはHさんに話す。
「そうですか、よかったあ。あの子はねえ・・・」
とHさんは一人ひとりのぬいぐるみさんの性格や、これまでのことを、
順に愛しそうに話してくれる。


私は朝、雨戸をあけたときや、風呂に入る前に
ぬいぐるみさんたちに話しかける。
ふっくらしたあごをさわり、
まるっこいあたまをなで、
大きな口をさすって。