はらっぱ日記

里山・はらっぱ育ちのもーちゃんです

紙芝居を描きなおし、描き足す

描きなおさなくっちゃあ

春先のすごく寒い日々、家の中にいて本ばかり読んでいた。
春樹さんの本を再読していた。
もう一度読みたくなり、読むとまた違う発見や深く沁み込んでくるものがある。
1Q84」のBOOK3・「東京奇譚集」、今は「海辺のカフカ」を読みだしている。
ほんとうに不思議な本たちだなあ。


東京奇譚集の「日々移動する腎臓の形をした石」という短編で、また立ち止まって揺さぶられる。
そんな文章をメモに残す。
・・・「何より素晴らしいのは、そこにいると、自分という人間が変化を遂げることです」「というか、変化を遂げないことには生き延びていけないのです。高い場所に出ると、そこにいるのは私と風だけです。ほかには何もありません。風が私を包み、私を揺さぶります・・・一度高い場所に足を踏み出しその集中の中にすっぽりと入ってしまえば、恐怖は消えています・・・」
こんな文に励まされる。


ある場所でわたしが何年か前に作った紙芝居をまたさせてもらうことになった。
改めてその紙芝居を見てみると、うううん、あまりにもまずい出来、こんなんだったのか・・・とがっくりきた。そして色が時間を経て、うすく変色をきたしているのと同じように、それを一生懸命作った時のわたしの気持ちも少なからず変わってきてるのに愕然とする。
こんな紙芝居はみんなの前ではできないよ!と思う。
でもやることが決まったから、今から新しいのを作るのはやっぱり無理だし、
これを作った時の思いをなんとか思い出し引き継ぎ、新しいいのちのようなものを少しでも吹きこみたかった。
色あせたのを少し筆を加え、足りないのを何枚か描き足して、全体を並べてみてみる。
一つの紙芝居に、色調や筆使いの微妙にちがう絵が混ざってる、苦笑して微調整する。
でも同じ人間、わたしが作ったものだからまあそれなりにひとつの雰囲気みたいなものはなんとか醸せるかなあと思ってみる。


自分のこの紙芝居を初めてつくったときの思いみたいなものが変化していること(それはあまり良いと言える変化ではないような気がするが)がわかったのは
わたしにとってよかったな。
「日々移動する・・・」の短編小説に書いてあったように、どんなに少しでも自分が変化を遂げていけるように・・・。
紙芝居の機会をもらってよかったよ。